海外でも絶大な人気を誇るアトラクションのひとつです
この記事について
今回は、ディズニーパークのアトラクション「ソアリン」についてご紹介したいと思います。「類似点」や「相違点」はもちろんのこと、アトラクションの「背景」や「トリビア」など、体験する前に知っておきたい情報やマニアックな知識について、たっぷりと盛り込んだ ” まとめ記事 ” をお届けいたします。
飛行を疑似体験できます
ソアリン(Soarin'/Soaring)とは、ハンググライダーのようなライドに乗り、風や香りを感じながら壮大な空の旅を楽しむことのできる「フライト・シミュレーション型」のアトラクションです。
上映されているフィルムは ” 世界一周 ” をテーマとした「アラウンド・ザ・ワールド(Soarin' Around the World)」。美しい映像と共に、世界6大陸の遺跡や大自然をめぐるという内容となっています。
このアトラクションを体験できるパーク
本家のお隣のディズニーパーク ” ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー ”
ソアリンを体験できるディズニーパークは、以下の4ヶ所となっています(2021年現在)。
- ディズニーランド・リゾート(カリフォルニア)
- ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー
- ウォルト・ディズニー・ワールド(フロリダ)
- エプコット
- 上海ディズニーリゾート
- 上海ディズニーランド・パーク
- 東京ディズニーリゾート
- 東京ディズニーシー
パーク別の比較
それでは早速、世界中の「ソアリン」を、ディズニーパーク別(ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー、エプコット、上海ディズニーランド・パーク、東京ディズニーシー)にご紹介していきたいと思います。
ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー
世界初の「ソアリン」はカリフォルニアに誕生
ソアリン・アラウンド・ザ・ワールド(Soarin' Around the World)は、ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーに導入されている ” カリフォルニア版のソアリン ” です。
ソアリン・アラウンド・ザ・ワールド(Soarin' Around the World)
- 所要時間:約5分
- アトラクションタイプ:シミュレーター・ライド(ファミリー向け)
- エリア:グリズリー・ピーク(ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー)
- 開始日:2001年2月8日(リニューアルオープンは2016年6月17日)
- 混雑状況:★★★☆☆
- ファストパス:〇
- シングルライダー:〇
今は無き ” コンドル・フラット ” の一風景
パークのオープンと同時にお披露目された ” 世界初のソアリン ” です。
テーマは「カリフォルニアの航空史」。飛行場をテーマとしたエリア「コンドル・フラット(現在は「グリズリー・ピーク」の一部)」に導入されました。
全体的に勇ましい感じの雰囲気が漂っています
建物の内部では、戦争をテーマとした音楽(映画のサウンドトラック)が流れており、歴代の航空機の写真や模型が数多く展示されています。
キャストさんも ” 飛行場のクルー姿 ” でゲストの前に登場します。
エプコット
ソアリン・アラウンド・ザ・ワールド(Soarin' Around the World)は、エプコットに導入されている ” フロリダ版のソアリン ” です。
ソアリン・アラウンド・ザ・ワールド(Soarin' Around the World)
- 所要時間:約5分
- アトラクションタイプ:シミュレーター・ライド(ファミリー向け)
- エリア:フューチャー・ワールド:ザ・ランド(エプコット)
- 開始日:2005年5月5日(リニューアルオープンは2016年6月17日)
- 混雑状況:★★★★☆
- ファストパス:〇
- シングルライダー:✕
エプコット版は ” 空港 ” そのものを舞台としています
フューチャー・ワールド(Future World)に導入されているエプコット版のソアリンは、空港(Airport)をテーマとしているため、キャストさんが ” 客室乗務員姿 ” でゲストの前に登場します。
オープン当初より、パーク内で最も人気の高いアトラクションのひとつとして知られており、混雑緩和のため、急遽、3つ目のシアターを追加することとなりました(ちなみにエプコット以外のディズニーパークでは2シアター体制)。また、Qラインでは、待ち時間を利用してゲストに楽しんでもらえるよう、赤外線を利用したインタラクティブなゲームを提供しています。
上海ディズニーランド・パーク
コンドルの姿がモチーフとなった外観が特徴的
ソアリン・オーバー・ザ・ホライズン(Soaring Over the Horizon)は、上海ディズニーランド・パークに導入されている ” 上海版のソアリン ” です。
ソアリン・オーバー・ザ・ホライズン(Soaring Over the Horizon)
- 所要時間:約5分
- アトラクションタイプ:シミュレーター・ライド(ファミリー向け)
- エリア:アドベンチャー・アイル(上海ディズニーランド・パーク)
- 開始日:2016年6月16日
- 混雑状況:★★★★★
- ファストパス:〇
- シングルライダー:✕
コンドル神の力はシャーマンでさえコントロールできないほど強力です(笑)
アドベンチャー・アイル(冒険島)を本拠地とする古代部族「アルボリ」が崇拝する「コンドル神(the Arbori tribe's Condor god)」が祀られた ” 寺院(天文台)” がアトラクションの舞台となっています。ホスト役でもある部族のシャーマンが、コンドル神の霊力を操って空を飛ぶというコンセプトになっています。
上海版は「アドベンチャー・アイル」の中にあります
上海版は世界で初めて「アラウンド・ザ・ワールド版」のライドフィルム(詳細は後述)が上映されたことでも知られています。
東京ディズニーシー
ファンタスティック・フライト・ミュージアムの外観
ソアリン:ファンタスティック・フライト(Soaring:Fantastic Flight)は、東京ディズニーシー(メディテレーニアンハーバー)に導入されている ” TDS版のソアリン ” です。
ソアリン:ファンタスティック・フライト(Soaring:Fantastic Flight)
- 所要時間:約5分
- アトラクションタイプ:シミュレーター・ライド(ファミリー向け)
- エリア:メディテレーニアンハーバー(東京ディズニーシー)
- 開始日:2019年7月23日
- 混雑状況:★★★★★
- ファストパス:〇
- シングルライダー:✕
ミュージアム内は見所がいっぱい
飛行の研究に人生を捧げた女性「カメリア・ファルコ」の人生を背景とするアトラクションとなっており、彼女の発明のひとつでもある「ドリームフライヤー」に乗って世界を旅するというコンセプトとなっています。
パークごとそれぞれに味わいがあります
航空機や操縦士をモチーフとしたプレート(カリフォルニア版)
ひと口に「ソアリン」といっても、パークごとに特色やオリジナリティがあることが分かります。
背景も本アトラクションを有するテーマランドと一体となっており、体験後もその余韻に浸れるという点がソアリンのもうひとつの魅力であると言えるでしょう。
クライマックスの映像が異なります
ミッキー型の ” 花火 ” も要チェック!
ソアリンで上映されているフィルムは、クライマックスの部分(花火のシーン)がパークごとに異なっています。
相違点および映像に登場する主なランドマークは、以下のとおりとなっています。
相違点について
座席によってエッフェル塔はぐにゃりと曲がって見えます(笑)
- ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー版
- ディズニーランド上空(眠れる森の美女のお城、スペース・マウンテン、マッターホルン・ボブスレーなど)
- エプコット版
- エプコット上空(スペースシップ・アースなど)
- 上海ディズニーランド・パーク版
- 上海市上空(東方明珠電視塔、上海タワーなど)
- 東京ディズニーシー版
- 東京都上空(富士山、東京タワー、レインボーブリッジなど)★
- 東京ディズニーシー上空(メディテレーニアンハーバー、プロメテウス火山など)
※ ★はパリ(エッフェル塔)の映像と差し替えになっています。
ライドフィルムを観比べるのも楽しい
アレッタも堂々のフィルム・デビュー
上海版以外は、それぞれ ” ディズニーパークに戻ってくる ” という演出でフィルムが終わっています。
また、DCA版とエプコット版には「ティンカーベル」が、TDS版には「アレッタ(カメリアの相棒のハヤブサ)」がパークの上空を飛んでいるといった相違点もあります。
ライドシステムについて
ここからは少しカラーを変えて、ソアリンの豆知識やテクニカルな部分についてご紹介していきたいと思います。
フライト・シミュレーション・ライドとは?
ライドは3列に分かれています(写真は上海版より)
ソアリンの代名詞でもある「フライト・シミュレーション」とは、その名のごとく、飛行を疑似体験できる技術のことを言います。映像と同期する形で垂直方向(上下)に座席が動くことで、フライト特有の ” 浮遊感 ” を生み出しているそうです。ちなみに、水平方向の動きは垂直動作と映像の回転を組み合わせることによって再現しているとのこと。
「タージ・マハル」のシーンでは ” バラの香り ” が漂います
また、映像にあわせて風を送ったり、人工香料(森林や花木、潮の香りなど)を放出したりすることで、肌や嗅覚を刺激し、よりリアルな飛行体験を作り上げているそうです。
イマジニアのアイディアによりソアリンは実現
87名ものゲストを軽々と持ち上げています
ソアリンのライドには「メカニカル・リフト(Mechanical Lift System)」という技術が採用されています。これは、従来のものと比べて、より少ない負荷で、3つの水平レベル(上・下・真ん中)に分かれたライドを動かすことができるというシステムです。これにより、建設費や人件費も抑えられることとなり、ソアリンの開発が飛躍的に進んだと言われています。
このリフト・システムのアイディアは、イマジニア「マーク・サムナー(Mark Sumner)」によるものだと言われています。彼はエレクター(Erector)からインスピレーションを得て、ソアリンのモックアップを製作したといいます。彼のアイディアがなければ、ソアリンは実現していなかった(または導入がかなり遅くなっていた)のかもしれません。
ライドフィルムについて
半円形の ” OMNIMAXスクリーン ” にて上映
ソアリンで上映しているフィルム(ライドフィルム)は「IMAX HD」の技術によって撮影されたもの。出力を倍にすることでブレを低減し、より滑らかでリアルな動きを生成しています。
中央シートからの眺め(DCA版)
上映フィルムは ” 2種類 ” あります
ライドフィルムには「ソアリン・オーバー・カリフォルニア(Soarin' Over California)」と「アラウンド・ザ・ワールド(Soarin' Around the World)」の2パターンあります。
前者はゴールデン・ゲート・ブリッジやダウン・タウンといったカリフォルニアの名所を、後者はギザの大ピラミッドや万里の長城、イグアスの滝など、世界6大陸の遺跡や大自然をめぐるという内容となっています。
ソアリン・オーバー・カリフォルニア版
サンフランシスコのランドマーク「ゴールデン・ゲート・ブリッジ」
ライドフィルムの内容
- ゴールデン・ゲート・ブリッジ(サンフランシスコ)
- レッドウッド・クリーク(ハンボルト郡)
- ナパ・バレー(ナパ郡)
- モントレー湾:サンクチュアリ(モントレー郡)
- タホ湖
- ヨセミテ滝(ヨセミテ国立公園)
- PGA・ウェスト・パーマー・コース(ラ・キンタリゾート)
- カマリロ(ベンチュラ郡)
- アンザ・ボレゴ砂漠州立公園
- 空母「USS・ジョン・C・ステニス」(サンディエゴ)
- マリブ・ビーチ
- ダウン・タウンの夜景(L.A.)
- ディズニーランド・リゾート上空(ディズニーランド or エプコット)
アラウンド・ザ・ワールド版
中国北部にある「万里の長城」は世界で最も巨大な遺跡です
ライドフィルムの内容
- マッターホルン(スイス)
- フィヨルド(デンマーク(グリーンランド))
- シドニー・ハーバー(オーストラリア)
- ノイシュヴァンシュタイン城(ドイツ)
- キリマンジャロ国立公園(タンザニア)
- 万里の長城(中国)
- ギザの大ピラミッド(エジプト)
- タージ・マハル(インド)
- モニュメントバレー(USA(アリゾナ州))
- ラウ島(フィジー)
- イグアスの滝(アルゼンチン)
- エッフェル塔(フランス)※ TDS版以外。
もはや ” カリフォルニア版 ” はレアなフィルムに!?
カリフォルニア版フィルムのオープニング・シーン
私たちは両フィルムとも体験済みですが、それぞれ個性があるので、一概に「どちらが良い」とは言えません。
映像が美しいのは ” アラウンド~版 ” ですが、一つひとつのシーンにこだわりが感じられるのは ” カリフォルニア版 ” かな、という個人的な感想はあります。とりわけ、爽やかなオレンジの匂いが香る、カマリロの畑を駆け抜ける映像は「カリフォルニア版」の中でも印象的なワンシーンとなっています。
DCAではやっぱり ” カリフォルニア版 ” を体験したい
米国人を中心に「カリフォルニア版」のカムバックを切望するゲストは多いようです。
そういった要望に応えて、ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーではカリフォルニア・バージョンをしばしば期間限定で ” 再上映 ” しているようです。
BGMについて
ソアリンの体験中はBGMにも注目!
フィルムの素晴らしさや美しさを、より際立たせてくれるのが ” BGM ” の存在です。2種類のフィルムそれぞれのBGMについて、ご紹介したいと思います。
ソアリン・オーバー・カリフォルニア版
BGMを担当したのは、今は亡き「ジェリー・ゴールドスミス(Jerry Goldsmith)」。彼は『グレムリン』や『猿の惑星』、『スタートレック』といった作品でも知られる、映画音楽界のレジェンドです。
アラウンド・ザ・ワールド版
BGMは「ブルース・ブロートン(Bruce Broughton)」によるもの。彼もまたTVや映画音楽を数多く手掛ける作曲家です。アラウンド~版のBGMは新譜ではありますが、ゴールドスミス氏のカリフォルニア版スコアを基に制作されました。
ちなみに、演奏はカリフォルニア版&アラウンド~版共に「ロンドン・スタジオ・オーケストラ(The London Studio Orchestra)」によるものだそうです。
幻のアトラクション!?「ウルトラ・フライト」とは
ウルトラ・フライトの導入予定だったエリア
最後に、このアトラクションにまつわるトリビアをひとつ。
元々、ソアリンは「ウルトラ・フライト(Ultra Flight)」という名称で、ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーの目玉アトラクションのひとつとしてオープンする予定でした。
その痕跡として、現在もDCAのタワー・コンソール上には ” Ultra Flight ” という表記が残っているとのこと。
何度もテーマランドの名称変更が行われた「グリズリー・ピーク」
ソアリンという名称へ変更された経緯は定かではありませんが、おそらく、よりキャッチ―な響きを持ち、アトラクションのコンセプトをイメージしやすい「Soar(舞いあがる)」という単語を動名詞化させた「ソアリン(Soarin'/Soaring)」という言葉が、最終的に勝ち残ったのではないかと思われます。
いまだに ” ソリアン ” と呼んでいる方もいるようですが…
元々、乗り物に強い関心を持っていたウォルト・ディズニーは、機関車と同じくらい、航空機やロケットにも興味があったそうで、それらの乗車体験をシミュレートするアトラクションの導入に力を入れていたといいます。
ウォルトも月や火星へ行きたかったのかもしれませんね
そういった意味においては、今は無き「ロケット・トゥ・ザ・ムーン(※)」などは、ソアリンの ” プロトタイプ ” と言えるのかもしれません。
補足(※)
ロケット・トゥ・ザ・ムーン(Rocket to the Moon):かつて、ディズニーランド(カリフォルニア)のトゥモローランドに存在していた、月への旅行を疑似体験できるシミュレーション型のアトラクションのこと。1955年7月22日にオープンし、1966年9月5日に閉鎖。
どのディズニーパークの ” ソアリン ” も魅力的です
ソアリンの世界制覇を目指しましょう!
今回は、ディズニーパークのアトラクション「ソアリン」についてのまとめ記事をお届けしました。
ディズニーパークごとに背景や舞台、上映フィルムが異なるため、どの ” ソアリン ” に乗っても「独自性」を感じさせるアトラクションとなっています。モノは同じでも、見せ方が違う。テーマやコンセプトを重要視するディズニーの真骨頂ともいえるアトラクションなのではないでしょうか。