
海外でも絶大な人気を誇るアトラクションのひとつです
この記事について
今回は、ディズニーパークのアトラクション「スプラッシュ・マウンテン/ティアナのバイユー・アドベンチャー」についてご紹介したいと思います。「類似点」や「相違点」はもちろんのこと、アトラクションの「背景」や「トリビア」など、体験する前に知っておきたい情報やマニアックな知識について、たっぷりと盛り込んだ ” まとめ記事 ” をお届けいたします。

丸太船で ” 笑いの国 ” をめぐります
スプラッシュ・マウンテン(Splash Mountain)は、丸太船のようなライドに乗り、ディズニー映画『南部の唄』の中で描かれている物語(アニメーション)の世界を、アニメに登場するキャラクターたちと共に船旅を楽しむ「ログ・フリューム型」のアトラクションです。
米国版においては、2009年に公開されたディズニー映画『プリンセスと魔法のキス』をテーマとした内容に一新されることが決定しています。
このアトラクションを体験できるパーク

人気アトラクションの割に、導入パークは少なめ!?
スプラッシュ・マウンテンを体験できるディズニーパークは、以下の3ヶ所となっています(2022年現在)。
- ディズニーランド・リゾート(カリフォルニア)
- ディズニーランド(2023年にクローズ予定)
- 東京ディズニーリゾート
- 東京ディズニーランド
- ウォルト・ディズニー・ワールド(フロリダ)
- マジック・キングダム(2023年にクローズ予定)
パーク別の比較
それでは早速、世界中の「スプラッシュ・マウンテン」を、ディズニーパーク別(ディズニーランド、東京ディズニーランド、マジック・キングダム)にご紹介していきたいと思います。
ディズニーランド

世界初の「スプラッシュ・マウンテン」は本家に誕生
1989年、” 世界初 ” のスプラッシュ・マウンテンは、本家カリフォルニアの「ディズニーランド」にてお披露目されました。
スプラッシュ・マウンテン(Splash Mountain)
- 所要時間:約9分
- アトラクションタイプ:ログ・フリューム・ライド(ビッグ・スリル)
- エリア:クリッターカントリー(ディズニーランド)
- 開始日:1989年7月17日(リニューアルオープンは2024年予定)
- 混雑状況:★★★☆☆
- 優先入場案内システム:〇(Genie +/Lightning)
- シングルライダー:〇

縦1列に並び、” 安全バー ” もありません…
オープン当初は ” 世界最長 ” のフリューム・ライドとして、その名が広く知れ渡りました。コースが左回りとなっている、乗り場が屋外にある、といった点が、TDL版と異なっています。
スペックなど
ひとつのライドにつき定員は6~7名(※ 最後部の座席は大人+子供用)。他のパークと異なり、縦1列に乗船するタイプとなっています。
- 最高速度:72km/h
- コース長:約800メートル
- 最大落差:約16メートル
- ドロップ:3回
サウンドトラック
- ハウ・ドゥ・ユー・ドゥ?(How Do You Do ?)
- エブリバディ・ハズ・ア・ラフィング・プレイス(Ev'rybody Has a Laughing Place)
- バロウズ・ラメント(Burrow's Lament)
- ジッパ・ディー・ドゥー・ダー(Zip-a-Dee-Doo-Dah)
以上、4曲となっています。
東京ディズニーランド

夏季には “ びしょ濡れ MAX ” を実施したことも
本家に続き「東京ディズニーランド」にも、スプラッシュ・マウンテンが導入されました。
オープンと同時に「クリッターカントリー(Critter Country)」という、小動物達の郷をテーマとしたエリアも誕生しています。
スプラッシュ・マウンテン(Splash Mountain)
- 所要時間:約10分
- アトラクションタイプ:ログ・フリューム・ライド(ビッグ・スリル)
- エリア:クリッターカントリー(東京ディズニーランド)
- 開始日:1992年10月1日
- 混雑状況:★★★★☆
- 優先入場案内システム:〇(プレミア・アクセス)
- シングルライダー:✕

最大傾斜「45度」のダイブ後には ” 笑いの国 ” が待っています
当初は ” 日産自動車 ” がスポンサー(※)となっており、オープン直後は鬼のようにスプラッシュ・マウンテンのCMを流していました(懐かしい…)。
※ 現在、本施設のスポンサーは「花王株式会社」となっています。
コースが右回りとなっている点は、TDL版のみの仕様となっています。
スペックなど
ひとつのライドにつき定員は8名。マジック・キングダム版と同様、2人掛けの座席となっており、腹部固定用の安全バーが設置されています。
- 最高速度:62km/h
- コース長:約850メートル
- 最大落差:約16メートル
- ドロップ:4回
サウンドトラック
- ハウ・ドゥ・ユー・ドゥ?(How Do You Do ?)
- エブリバディ・ハズ・ア・ラフィング・プレイス(Ev'rybody Has a Laughing Place)
- バロウズ・ラメント(Burrow's Lament)
- ジッパ・ディー・ドゥー・ダー(Zip-a-Dee-Doo-Dah)
以上、4曲となっています。
マジック・キングダム

この雄大な景色を拝めるのも、あと少し…
1992年、本家&TDLに続いて、フロリダの「マジック・キングダム」にも、本アトラクションは導入されました。
スプラッシュ・マウンテン(Splash Mountain)
- 所要時間:約11分30秒
- アトラクションタイプ:ログ・フリューム・ライド(ビッグ・スリル)
- エリア:フロンティアランド(マジック・キングダム)
- 開始日:1992年10月2日(リニューアルオープンは2024年予定)
- 混雑状況:★★★☆☆
- 優先入場案内システム:〇(Genie +/Lightning)
- シングルライダー:✕

フロリダの気候がすぐに服を乾かしてくれるのさ
現存する3つのバージョンの中で ” 最も濡れる山 ” として知られる、悪名高き(!?)スプラッシュ・マウンテンです(笑)。
コースの長さは3つの中で最も短く、オーディオ・アニマトロニクスの数も本家版(103体)の約半数(68体)となっています。
スペックなど
ひとつのライドにつき定員は8名。TDL版と同様、2人掛けの座席となっており、腹部固定用の安全バーが設置されています。コースは左回り。
- 最高速度:72km/h
- コース長:約790メートル
- 最大落差:約16メートル
- ドロップ:5回
サウンドトラック
- ハウ・ドゥ・ユー・ドゥ?(How Do You Do ?)
- エブリバディ・ハズ・ア・ラフィング・プレイス(Ev'rybody Has a Laughing Place)
- ジッパ・ディー・ドゥー・ダー(Zip-a-Dee-Doo-Dah)
以上、3曲となっています。
このアトラクションのテーマ ~『南部の唄』編 ~

実写+アニメの名作『メリー・ポピンズ』にも影響を与えています
映画『南部の唄』とは?
1946年に公開された映画『南部の唄(Song of the South)』は、米ジョージア州を舞台に、7歳の少年「ジョニー(演:ボビー・ドリスコール)」と、農園に住んでいる「リーマスおじさん(演:ジェームズ・バスケット)」の交流を描いた、心温まる作品です。
原作は、米国のジャーナリスト「ジョーエル・チャンドラー・ハリス」著の『リーマスおじさん(Uncle Remus)』。
本作品は ” 実写 ” と ” アニメーション ” が合成された作風が特徴で、主人公の ” リーマス ” を演じた「ジェームズ・バスケット」は、本作における好演により、1948年にアカデミー賞を受賞しています。
ストーリー

うさぎどんは ” 笑いの国 ” を探しに、旅へと出かけます
ジョージアに住む祖母の農場に預けられた少年「ジョニー」は、農園で下働きしていた「リーマスおじさん」の話す、” ブレア・ラビット(うさぎどん)” や ” ブレア・フォックス(ずるぎつね)” や ” ブレア・ベアー(どんくま)” が登場する ” 寓話 ” に魅せられていきました。
おじさんがそんな話をする時は、ジョニーの身になにかトラブルがあったり、悲しんだりしている時だったからです。リーマスの陽気で前向きな話を通じ、ネガティブな感情やトラブルを彼なりに解決させていきました。
そんな二人の関係をジョニーの「母」は快く思っておらず「これ以上、息子に話をするな」とリーマスに忠告。
二度と彼に近づかないよう、息子にも強く言い聞かせました。

” ずるぎつね ” と ” どんくま ” は共謀(!?)して、あの ” うさぎくん ” を…
己の善意が誤解を生んだことに悲しみ、リーマスはジョージアを去る決心をします。
ジョニーはアトランタへと出発する彼を追いかけ、途中で入り込んでしまった牧草地の雄牛に襲われ、重傷を負ってしまうことに…。
うなされながらも「リーマスおじさん…」と、大好きな彼の名を口走るジョニー。
そんな二人の運命やいかに…。
このアトラクションのテーマ ~『プリンセスと魔法のキス』編 ~

王子様を待たない ” 独立系プリンセス ” としてのパイオニアです
映画『プリンセスと魔法のキス』とは?
2009年に公開された映画『プリンセスと魔法のキス(The Princess and the Frog)』は、本アトラクションのリニューアル後の題材として採用されている、ディズニーのアニメーション作品です。
米国の児童小説家 E.D. ベイカー著の『カエルになったお姫様(The Frog Princess)』に基づいて制作されています。
映画化にあたり、ヒロインのプリンセスの名を「エマ」から ” ティアナ ” に、舞台を ” ニューオーリンズ ” にするといった変更、等々が加えられています。
ストーリー

ティアナは健気な少女です
本作品のヒロイン「ティアナ」は、亡き父の夢だった「自分のレストラン」を開くため、ウェイトレスの仕事をしながら、堅実に開業資金を貯めていました。
ある日、マルドニアの傲慢な王子「ナヴィーン」は、ティアナの幼なじみ「シャーロット」の父が主催するパーティーに招かれ、ニューオーリンズを訪れることに。
彼は訪米中、呪術者「ドクター・ファシリエ」の巧みな言葉にそそのかされ、” カエル ” の姿へと変えられてしまいました…(えっ?)。

いつまでも ” カエル ” のままじゃ、いられないのさ
シャーロットに促され、たまたまドレスアップしていたティアナの前に、たまたま現れた王子は、彼女をすっかり ” 姫 ” だと思い込み「元の姿に戻るには ” プリンセス ” とのキスが条件だ」と言って、ティアナにキスを迫ります。
彼の思いに根負けした彼女は、その申し出に応じますが、王子が人間に戻ることはありませんでした(そりゃそうだ…)。
それどころか、ティアナ本人も「カエル」になってしまったのです…(えっ、そんなぁ…)。

明るく陽気な ” ワニ ” も登場します(笑)
ナヴィーンの背後には、シャーロットの家の財産を狙う、王子の従者「ローレンス」の影がつきまとっています。
果たして、” カエル ” になってしまった「ティアナ」と「王子」の結末や、いかに…。
リニューアルについて

いつか、いつかと、思っていましたが…
米国版は ” 2ヶ所 ” とも、アップデートされます
2021年7月「マジック・キングダム」の「スプラッシュ・マウンテン」は、ディズニー映画『プリンセスと魔法のキス』をテーマとしたアトラクションに一新されるというニュースが伝えられました。
本アナウンスの直後、マジック・キングダムでは「ブレア・ラビット」のグッズを買い占めるといった大騒動が起こったとのこと。
その後、ニューオーリンズで開催された「エッセンス・フェスティバル(2022年6月30日~7月3日)」にて、後継アトラクションの名称が、
- 「ティアナのバイユー・アドベンチャー(Tiana’s Bayou Adventure)」
となることが発表されました。
この頃には、” カリフォルニア版 ” の変更も、すでに決定事項となっていました。
ティアナのバイユー・アドベンチャーとは?

映画の ” スピンオフ ” となっています
新アトラクション「ティアナのバイユー・アドベンチャー」は、映画『プリンセスと魔法のキス』の ” 後日談 ” が、その舞台となっています。
自分のレストランをオープンさせるという夢を叶えたティアナは、ニューオーリンズの人々のためにパーティーを主催しますが、そこに重要な何かが欠けていると感じます。彼女はその何かを探し出すため、ミュージシャンになることを夢見るワニの「ルイス」と一緒に、バイユー(小川)の旅へと出かけます。その旅の中で、パーティーにおいて特別な役割を担うこととなる、新たな ” 友達 ” と出会うことになるのです。
本施設は、外観上の変更はもちろん、最新のテクノロジーを融合させた演出によるアトラクションに生まれ変わるとのこと。
また、ティアナやナヴィーンをはじめとした、映画の声優陣もカムバックするそうです。
リオープンが、今から楽しみですね!
クローズ&オープン時期について

リオープンに向けて、順次、2パークとも閉鎖に…
改修工事に入るため、
- カリフォルニア版:未定~
- フロリダ版:2023年1月23日~
の日程にて、クローズが予定されています。
また、リオープンについては、2022年に開催された「D23」の情報によると、
- カリフォルニア版:2024年後半~
- フロリダ版:2024年後半~
となっているようです。
TDL版の行方は…!?

もはや ” TDL版 ” はレアなアトラクションに!?
唯一の ” オリジナル版 ” として君臨!?
米国のスプラッシュ・マウンテンが両方ともなくなってしまうとなると、唯一の ” オリジナル Ver. ” は、TDL版のみ、ということになります。
これはこれでひとつの ” 優位性 ” となり得るため、一見、喜ばしいことのように思われますが、果たして、本当に(理想的に)差別化が図られる、と言えるのでしょうか。

米国のディズニー社とのライセンス契約期間は2076年まで延長されました
東京ディズニーリゾートは、ウォルト・ディズニー・カンパニーとのライセンス契約に基づき「株式会社オリエンタルランド(OLC)」が経営していますが、ディズニーとしてのカラーを統一するという意味において、ワールドワイドな流れには柔軟に対応していく、というスタイルが慣例となっています。
故、本件に関して、仮に ” 差別化 ” が図られるようなことがあったとしても、それは ” 一時的 ” なものになるのではないか、と予測しています。
これは、オリジナル版に対する「好き」や「嫌い」といった、個人的な感情を除外した上での見解です。
リニューアルの予定は!?

TDRで『ジッパ・ディー・ドゥー・ダー』が聴けなくなる!?
米国版のアップデートが発表された当初、「TDL版のテーマを再考する予定はない」という姿勢を示されていましたが、変更するかどうかの検討段階に入った、という情報も、ちらほらと聞こえてきています(公式には「現時点でのアップデートはなし」となっています)。
また「多様性の反映」という理由のもと、2022年8月19日より、ディズニーリゾートラインの駅舎内において『ジッパ・ディー・ドゥー・ダー』の楽曲使用は、一部、取りやめとなっているとのこと。
時代の流れにより、おそらく東京ディズニーランド版も、遅かれ早かれ ” プリンセスと魔法のキス ” のテーマに一新されることでしょう…
と、2021年の時点で、当ウェブメディアにて言及したとおりの未来予想図となっていくような予感がしています…。

こちらの再開発も楽しみですね
とはいえ、スペース・マウンテンの改修をはじめとした、トゥモローランドの再開発の発表をしたばかりということもあるため、仮にTDL版のスプラッシュ・マウンテンがアップデートされるようなことになったとしても、もうしばらく先の話になるのではないか、とも思っています。

” シリキ Ver. ” は、海外からのゲストの評価も高い
であれば、東京ディズニーシーの「タワー・オブ・テラー」のように、完全にテーマを ” TDRの独自路線 ” でチェンジしてみる、というのも、面白いかもしれませんね。
ちなみに『ファンタジア』をテーマとした ” 新生スプラッシュ・マウンテン ” なんて、いかがでしょうか…(笑)。
あの ” 水浸しの山 ” に時代の流れを感じます

我が家にある『南部の唄』は、もはや ” お宝レベル ” !?
今回は、ディズニーパークのアトラクション「スプラッシュ・マウンテン/ティアナのバイユー・アドベンチャー」についてのまとめ記事をお届けしました。
まもなく米国では「ティアナのバイユー・アドベンチャー」のオープンに向け「スプラッシュ・マウンテン」がクローズされます。多様性の反映を尊重し、この英断を実現化させたウォルト・ディズニー・カンパニーは賢明だった、と思います。「ブレア・ラビットが大好き」「『ジッパ・ディー・ドゥー・ダー』を聴くと元気になれる」といった声は、もはや ” マイノリティ ” なのかもしれませんね。
恙なく ” ティアナ版 ” へとアップデートされた暁には、ホーンテッド・マンションの ” セメタリー ” にて、” あのうさぎくん ” と再会、なんてことになるのでしょうか…(笑)。