
唯一無二の ” スペース・マウンテン ” です
この記事について
今回は、ディズニーランド・パーク(パリ)のアトラクション「スペース・マウンテン(ハイパースペース・マウンテン)」についてご紹介したいと思います。「混雑状況」や「攻略方法」はもちろんのこと、アトラクションの「背景」や「トリビア」など、体験する前に知っておきたい情報や楽しみ方のポイントについて、臨場感たっぷりの ” 体験レポート ” と共にお届けいたします。

ひとつ上ゆく ” スリル ” を味わえます
スペース・マウンテン:ミッション2(Space Mountain: Mission 2)は、フランスの小説家「ジュール・ヴェルヌ」の作品『月世界旅行』をテーマに設計された、ローラーコースタータイプのアトラクションです。
現在は ” 期間限定 ” で映画『スター・ウォーズ』の世界を再現した「ハイパースペース・マウンテン」として運営されています。
アトラクションのデータ
ハイパースペース・マウンテン(Star Wars Hyperspace Mountain)
- 所要時間:約2分5秒
- アトラクションタイプ:屋内型ローラーコースター(ビッグ・スリル)
- エリア:ディスカバリーランド(ディズニーランド・パーク)
- 開始日:2017年5月7日
- 混雑状況:★★☆☆☆
- ファストパス:〇
- シングルライダー:〇
パリ以外でこのアトラクションを楽しめるパークは??
ディズニーランド・パークの「スペース・マウンテン」と同タイプのアトラクションは、以下のディズニーパークにも導入されています。
- ディズニーランド(カリフォルニア)
- スペース・マウンテン(Space Mountain)
- マジック・キングダム(フロリダ)
- スペース・マウンテン(Space Mountain)
- 東京ディズニーランド
- スペース・マウンテン(Space Mountain)
- 香港ディズニーランド
- ハイパースペース・マウンテン(Hyperspace Mountain)
パリ版は ” レトロフューチャー ” がコンセプト

ディスカバリーランドの一風景
スペース・マウンテンそのものは、世界中のディズニーパークで導入されているお馴染みのアトラクションのひとつですが、パリ版は他のバージョンと比べて、見た目や演出、コース・レイアウトなどが全く異なっています。
その理由は、本アトラクションを有する「ディスカバリーランド」というテーマランドが、独自のコンセプトに基づいて設計されているからです。

TDSのポートディスカバリーも同様のコンセプトとなっています
ディスカバリーランド(Discoveryland)は、他のディズニーパークにおける「トゥモローランド」に相当するテーマランドですが、” 近未来 ” を意味する「トゥモロー」ではなく、過去の人間が想像した未来像を意味する ” レトロフューチャー ” をエリアのコンセプトとしています。
フランスのSF小説家「ジュール・ヴェルヌ(Jules Gabriel Verne)」をフィーチャーし、彼の描く小説の世界が再現された、どこか懐かしさを感じさせる雰囲気を特徴としています。

ゴテゴテとした尖塔もインパクトがありますね
コンセプトが ” レトロ ” ということもあり、エリアの設計には古典様式のひとつでもある「ヴィクトリア様式(※)」が採用されています。スペース・マウンテンをはじめとしたアトラクションの外観が、華美な印象となっているのはそのためです。
補足(※)
ヴィクトリア様式:19世紀半ばから後半にかけて再興された、古典的な建築様式のひとつ。金属やガラスなども使用され、豪華さを特徴とする、イギリスの代表的なアンティーク・スタイル。
混雑状況について

高い回転率のため、長蛇の列となることは殆どありません
待ち時間/混雑する時間帯など
待ち時間の目安としては、平日は5~20分、休日でも30分程度といったところでしょうか。
回転率も良く、さほど混雑はしません。夕方に近づくほど、より混雑が緩和される傾向にあるようです。
また、エクストラ・マジック・タイム(早朝優先入場)の時間帯にも稼働しているため、そういった制度を適宜利用するのも◎
ファストパスには対応しているの?

発券機は入り口から少し離れたところにあります
ファストパスの対象となっているアトラクションです。
ハイパースペース・マウンテンは、比較的、遅めの時間帯(夕方「17:00」くらい)までファストパスを発券しています。
故、他のアトラクションのパスを優先的に取得されることをおすすめします。
シングルライダーには対応しているの?
シングルライダーの対象となっているアトラクションです。
本アトラクションのライドは2人掛け(偶数)なので、空きは出にくいかもしれません。乗れたとしても、スタンバイと比べ、極端に待ち時間が短縮されるというほどの効果は感じられないようです(参考:スタンバイ「15分」に対し、シングルライダー「10分」など)。
体験レポート

今回の訪問では計3回体験してきました
それでは、ディズニーランド・パークのアトラクション「スペース・マウンテン(ハイパースペース・マウンテン)」について、詳しくご紹介していきたいと思います。
外観について

他の Ver. とは見た目が全く異なります
上述のとおり、外観には ” ヴィクトリア様式 ” の要素を取り入れており、華美な装飾やゴールドを基調とした配色など、明らかに ” 他のスペース・マウンテン ” とは一線を画す、斬新なデザインとなっています。

ちなみにこちらは香港の ” HSM ” です
真っ白で無機質なスペース・マウンテンもクールで魅力的ですが、どこか懐かしさを感じるパリ版のスペース・マウンテンもクラシカルな味わいがあります。
内部はどうなっているの?

ストレスフリーで乗り場まで辿り着けます
エントランスを抜け、ラグーンの横に設けられたQラインを歩いてドーム内へ。ほぼノンストップで乗り場まで移動することが可能です。

この巨大な大砲は ” ヴェルヌ ” の小説にも登場します
ドームの中へと入ると、星が描かれた美しい天井画やユニークな大砲の図面などを観賞できるようになっています。シックな茶色をベースとした外壁や柱にはどことなく懐かしさが感じられ、レトロフューチャーの世界へと、どんどん引き込まれていきます。
ゲストはこの薄暗いQラインを通り抜け、懐古的なライド乗り場へ。
ライドは ” ロケット ” 型

なんと ” ハーネス付き ” です(笑)
ゲストは青い ” ロケット型 ” のライドに乗ってアトラクションを体験します。
ひとつの列車につき定員は24名(4名/1両 ※ 6両編成)。
ディズニーパークの絶叫マシンの製造会社としてお馴染み「ベコマ(※)」製のローラーコースターとなっています。
補足(※)
ベコマ(Vekoma Rides Manufacturing):ベコマとは、フロリダ版の「ロックン・ローラー・コースター」やパリ版の「スペース・マウンテン」などのアトラクションを製造している、オランダの遊戯機械メーカーのこと。

左右に分かれていますがコースは一緒です
乗降場は、日光が差し込む明るい空間に設けられています。
中央にある大きな階段を下ると、列が左右に分かれています。キャストさんに案内された方のライドに乗車しましょう。
おすすめの席はどこ??

今回は ” 最後部(12番目)” のシートも体験しました
よりスリルを味わいたいという方であれば、後方の席に乗車することをおすすめします。
一般的に、車両数の多いローラーコースター(キャメルバック型)に関しては、後方の席のほうが「浮遊感」や「高低差」が感じられるため、前方の席よりもスリルを感じられると言われています。
ハイパースペース・マウンテンは車両数の多いアトラクションであるため、この法則に当てはまるのですが、前方ライドの方が、” 急発進(スタート時)” の際、より強い迫力を感じます。
故、前の席も後ろの席も甲乙つけがたい、というのが本音です(笑)。
さあ、” バトル ” が繰り広げられる宇宙空間へ!

これは決して誇張表現ではありません(笑)
ライドへ乗り込むと、キャストさんから ” ハーネス ” を胸まで下げるよう、指示を受けます。これは、TDL版には存在しないオペレーションですね。その指示に従わないと、これから先が大変なことになるので、そのとおりにしましょう(笑)。
出発の準備が整うと、発進の合図と共に宇宙ロケットが動き始めます。
加速レーンの前にて、ライドは一旦停止。その後、予告(カウントダウン)なしに ” ロケット ” は急発進します!

この巨大な大砲は何に使うのかというと…
最高時速71kmで、一気に山の頂上へ。
この凄まじい推進力は、” あの大砲(※)” の打ち上げによるエネルギーとなっています(無論、そういう設定です(笑))。
その後、ドームの中へと入り、真っ暗闇の宇宙空間を猛スピードで駆け抜けます。
補足(※)
コロンビヤード砲(Columbiad):重い砲弾の投射能力を持った、大口径&前装式の滑腔砲のこと。パリ版のスペース・マウンテンにおいては、ライドを宇宙にまで飛ばす ” 発射装置 ” にとしての役目を担っている。
3つの ” 反転 ” を味わえます

これは聞かなかったことにしよう
反乱同盟軍の「Xウイング・スターファイター」と帝国艦隊のシンボル的存在「タイ・ファイター」との激しいバトルの真っ只中を、ブラスターから放射されるライトをかわしながら、ライドは駆け抜けていきます。
我々の乗るロケットは、前方からも後方からも強烈な集中砲火攻撃の餌食に…。
今にも撃墜されてしまいそうです…。

なんてこった…。
ちなみに、パリ版のハイパースペース・マウンテンには、
- サイドワインダー
- コークスクリュー
- ホースシュー
以上、3種類の ” 反転エレメント ” が用意されています。
サイドワインダー(Sidewinder)は、” 半ループ(回転)” と ” 半ひねり ” で構成されたもの。コークスクリュー(corkscrew)は ” ひねり ” ながら回転するというエレメント。ホースシュー(horseshoe)は、馬蹄形のような180度の曲線を特徴(ブーメラン・ターンとも言う)となっています。
道理で ” ハーネス ” が必要となるわけですね(笑)。
ラストは輝く光の中へ!

もの凄いスピードと重力を感じます
最後までスピードを緩めることなく、ライドは宇宙空間を疾走します。
リアルに『スター・ウォーズ』の戦闘機に乗っているかのような感覚です(実際にファイターに搭乗したことはないため、あくまでも想像に過ぎませんが…)
ラストは眩い光の中へと突入!
ライドフォトにも対応しています

パリの思い出をフォトパスで残そう
ハイパースペース・マウンテンは「ライドフォト」の対象アトラクションとなっています。
ライドフォトというのは、アトラクションの体験中に撮影される写真のことです。東京ディズニーランドの「スプラッシュ・マウンテン」やディズニーシーの「タワー・オブ・テラー」でもお馴染みのサービスですね。

フォトパス+はライドフォトの販売店舗にて購入できます
フォトはアトラクションの出口付近に隣接するショップ「ライト・スピード・フォトグラフィー(Light Speed Photography)」にて購入可能。
受け取りまでの所要時間は、余程混雑していない限り「5分」程度といったところでしょうか。
ちなみに、” スタート直後(トンネル内)” のタイミングでライドフォトの撮影があります。
しっかり笑顔で臨み、思い出の1枚を残しましょう(笑)。
また、ディズニーランド・パリではプロのカメラマンによる写真撮影サービス「ディズニー・フォトパス(Disney PhotoPass)」を提供しています。
定額料金でライドフォトをたくさんコレクションできるおすすめのサービスです。
TDSの ” プロメテウス火山 ” の原型!?

イタリア(ナポリ)の「ヴェスヴィオ火山」がモデルとなっています
スペース・マウンテンやオービトロンを有する「ディスカバリーランド」は、元々「ディスカバリー・マウンテン(Discovery Mountain)」という、複数のアトラクションやダイニング、エキシビションなどの施設で構成された複合的な屋内エリアとなる、という構想があったそうです。
しかしながら、その開発には莫大な予算を必要とし、当時、深刻な財政上の問題を抱えていたディズニーランド・パリ(ユーロ・ディズニーランド)は、残念ながら、そのプランの実現を断念せざるを得ませんでした。

ユーロ・ディズニーの台所事情の話は有名ですね
ちなみに、ディスカバリー・マウンテン内には、
- ディズニーランド鉄道の駅舎
- 火山島&ラグーン
- ヴェルヌの小説『月世界旅行』や『地底旅行』に基づく絶叫マシン
- 潜水艦(ノーチラス号)をモチーフとしたアトラクションやダイニング
- ホライズン(以前、エプコットに存在したアトラクション)
といった施設が導入される予定だったそうです。
火山島?ノーチラス号?『地底旅行』に基づく絶叫マシン!?
そのエリア、どこかで見覚えがあるような気がしませんか?

ヴェルヌの世界観を受け継いでいます
そうです。ディスカバリー・マウンテンの構想はのちに、東京ディズニーシーのテーマポート「ミステリアスアイランド」のエリア設計に採用されることとなったのです。
当初のコンセプトどおり、ミステリアスアイランドは ” 火山(プロメテウス)” を中心とする島というレイアウトとなっており、火山島の周りには ” ラグーン ” 、そして、潜水艦「ノーチラス号」が停泊しています。

ディスカバリー・マウンテンの ” 幻の火山島 ” を原型としています
ディスカバリー・マウンテンの構想のひとつに挙げられていた『地底旅行』に基づく絶叫マシンというのは、火山をシンボルとした ” フリーフォール型のライド ” だったと言われています。
その名は「センター・オブ・ジ・アース(Journey to the Center of the Earth)」。
噴火口に向かって落下するという、スリル・ライドとなる予定でした。
現在は ” フリーフォール型 ” ではなく、地底探検中の走行車が噴火の被害から逃れるために、火山から脱出するという内容を展開するアトラクションへと形を変え、日本に誕生することとなりました。

” 叶わぬ夢 ” と ” レトロフューチャー ” はどこか共通しています
現在、ディズニーランド・パーク(パリ)では、ディスカバリー・マウンテンの候補地となるはずだった場所には「スペース・マウンテン」と「ノーチラス号」のみ導入されており、その周りにはラグーンが広がっています。
ディスカバリー・マウンテンそのものは見果てぬ夢となりましたが、構想の名残は、今でもこの地でひっそりと息づいているのです。
これこそホンモノの ” ハイパースペース・マウンテン ”!!

ライトアップされた夜の姿もキレイです
今回は、ディズニーランド・パーク(パリ)のアトラクション「ハイパースペース・マウンテン」についての体験レポートをお届けしました。
つい、絶叫度が高いことだけに目が行きがちではありますが、東京ディズニーシーのプロメテウス火山との意外な共通点やディスカバリーランドの歴史を感じさせる点などは、このアトラクションの魅力のひとつとなっているのではないでしょうか。2022年の時点で、ハイパースペース・マウンテンが存在しているパークは、パリと香港のふたつだけとなっています。TDLのスペース・マウンテンはもちろんのこと、パリ版と香港版の乗り比べをしてみるのも一興かもしれませんね。
激しいバトルが繰り広げられる、この ” SWの世界を体感できるローラーコースター ” を、是非、パリで体験してみてはいかがでしょうか。